研究内容
環境基盤研究室(増田幸宏研究室)
建築・都市環境工学は、人間を取り巻く環境空間の安全性、快適性、効率性、健康性を総合的に追求する学問である。環境を支える仕組みと仕掛けに焦点をあて、環境形成のメカニズムの追求と、望ましい環境制御システムの実現に向けて下記のテーマに取り組んでいる。
テーマ 1 建築・都市のレジリエンスに関する研究
テーマ 2 地域エネルギーシステムの設計・評価に関する研究
テーマ 3 環境共生の都市づくりと環境インフラに関する研究
切迫性が指摘される首都直下地震等に対する建築・都市の機能維持、地球環境問題としての二酸化炭素排出削減や都市再生上の重要課題であるヒートアイランド現象等に対して、成熟社会を迎えた現在、生活者の視点で真に豊かな都市づくりの新たな方策が求められている。環境基盤研究室では、建築環境と都市環境を支えるにふさわしい「環境基盤」のあるべき姿を、「社会資本(建築設備、ライフライン、都市設備等)」と「自然資本(自然的要素)」の両面から描くことを目的として研究を進めていく。またこうした研究活動を通じて当研究室では、社会的意義が高い実践的な地域貢献活動を積極的に推進していきたいと考えている。
テーマ1
建築・都市のレジリエンスに関する研究(建築・都市の危機管理と機能維持)
広域災害時等に発生する甚大な間接被害の多くはライフライン要素や建物設備の機能不全に起因する。地震災害や事故発生といった非常時における建築・都市の危機管理に着目し、適切な機能維持を図るための方策を、事業継続マネジメントの観点や、新たな安全性モニタリング・記録システムの開発を通じて取り組んでいる。また危機管理プロセスの科学的検証や責任体制を明確にするプロセスを新たなビルディング・フォレンジクス領域の研究として展開している。
キーワード
ライフライン, 機能継続マネジメント, レジリエンス(機能障害から回復能力), ビルディング・フォレンジクス, Building Continuity支援システムとBSR:Building Security Recorder

(Building Continuity Support Systems)

(Prototype of Resilience Monitoring System)
テーマ2
地域エネルギーシステムの設計・評価に関する研究
CO2の削減に向け民生部門の温暖化対策を講じることが重要な課題になっている。本研究ではエネルギーや水資源を都市再生プロジェクトと連動した面的利用の視点で捉え、省CO2型の地域エネルギーシステム、水循環システムの研究を進めている。未利用資源賦存量調査、需給のマッチングシミュレーション、循環システムの設計・評価等について実際のプロジェクト地区を対象とした実務的な検討を進めている。
キーワード
地球温暖化対策, 資源循環, 地域エネルギーシステム, エネルギーの面的利用, エクセルギー, Highly Protected and Secured District, Deep Underground Lifeline Network

(System Model of District Energy Supply System)

(Development of Micro Grid and Thermal Grid)
テーマ3
環境共生の都市づくりと環境インフラに関する研究
都市の熱汚染としてのヒートアイランド現象等を対象とし、都市高温化リスクの管理・制御手法に関する研究を進めている。都市内自然資本である風、水面、緑地の持つ浄化、希釈、冷却能力を総合的に地域の環境容量として評価する手法や、気候風土を都市環境気候図という形で表現し都市環境計画に反映させる方法について研究を進めている。風、水、緑の道による都市形態の改善を図ることで、自然環境共生型の都市づくりを目指すものである。
キーワード
ヒートアイランド現象の緩和策, 水の道・緑の道・風の道, 都市環境気候図

(Making of klima-atlas for Urban Environmental Policy)

(Wind Tunnel Experiment with a Model of Built-up Areas)